2006年 04月 29日
■だて男のファッション考 |
注=タイトルに誤植がありました。“だて男”は“どて男”が正しく、お詫びして訂正いたします。以後、チェック体制に万全を期して再発防止に努めます。
宗教でも化学でも、また伝統芸能であれコンピューターであれ、あるいは皇位継承だろうが薬害問題だろうが、さらには数学からギャンブルまで……何を語ろうが、私の半可通ぶりを知る人は驚かない。けれども“ファッション”について能書きをたれるとなると、「こりゃ、別人のブログだろう」と思うにちがいない。それほど私は、ファッションとは縁遠い人間なのだ。
暑さ寒さ対策ならともかく“衣”には無頓着だ。見ばえを旨とするファッションには拒絶反応すらある。手持ちの衣料をつらつらみると、ほとんどが兄弟のお下がりか息子のお上がり、さもなければもらい物。10年来着古したものはふつうで、ビンテージものというべきモノさえある。家人はいやがるが、自分では(何を着ても映える)と思っているから意に介さない。
さて、スポーツウェアに注目したきっかけは、クラブでの意外な発見にある。というのは、上下とも黒のウェアが目だって、白ずくめというのは自分だけだった! 今どきのスポーツクラブでは黒のウェアが8割以上を占めているのだ。白・グレーのほか色物が散見されるだけで、とにかく印象としては“黒全盛”の観がある。
いうまでもなく黒は最高だが、むずかしい色だ。バート・ランカスター(「ベラクルス」の敵役)やジャック・パランス(「シェーン」の拳銃使い)ならさまになるが、たいていは安っぽいギャングか殺し屋にしか見えない。好みの問題とはいえ、スポーツの場にかぎれば、イキよりヤボ、ダンディよりキザに見えやすい。
要するに、私だけ清潔感があり、センスが良く、ひとり目だってかっこいい……と、そういうことを言いたいのではない。率直なところ、なぜこうも黒が多いのか。とんとわからないのだ。わからないけれど、これはスポーツ用品店主やユニクロの仕入れ担当に教えれば感動されるような情報ではないかと思う。(ただし、上下のコーディネートとか、半袖・長袖・短パンなど考察すべき種々のポイントがあるので見合わせている)
では、土手のファッションはどうか。散歩人は通常着で、自転車屋はカラフルなユニフォームだ。スポーツとして走る人・歩く人のウェアを見ると、トレーナー、Tシャツなどさまざまだ。それでも上下そろいの黒とかはあまり見かけない。いても、エアコンの屋内と違って、土手の自然環境には馴染まないような気がする。
土手のコースでも私はそろいの白だが、特別のウェアではない。下は古いトレーナー、上はただのTシャツに寒ければ薄手のジャンパーと、やはり白だけだ。白ずくめにした理由はカテゴリ「1」ウォーミングアップの時間 にのべたように、暗くても目だちやすくて安全だからだ。
私のスポーツクラブ歴は15年になる。あちこちのクラブの、さまざまな曜日や時間帯を体験したが、これほど黒の流行を見るのは初めてだ。黒ずくめの中にいると、ふと異星人の世界に紛れ込んだような、あるいは自分だけが下着姿の“裸の王様”になったような気分になる。世間の趣味がわるくなったのか、私がおかしいのか──どちらにせよ、自分のずれ加減の証左のひとつではあろうが。
終わりに、スポーツウェアに関わる私の原体験を述べておきたい。それは中学に入学して身につけるようになった「白トレーパン&ブルーのTシャツ」のことだ。それ以前は特別のウェアなどなく、体操の時間でも普段着みたいなものだった。つまり初めて運動専用の服装を持ったわけ。いま思えば上等とはいえない木綿製で染色もわるかったが、「よごすための運動着」をわざわざ買い整えるのは負担な当時で、それはちょっとした憧憬の対象でさえあった──回想しながら、当節のスポーツ・ファッションは邪道だと思うのだが、いかが。
宗教でも化学でも、また伝統芸能であれコンピューターであれ、あるいは皇位継承だろうが薬害問題だろうが、さらには数学からギャンブルまで……何を語ろうが、私の半可通ぶりを知る人は驚かない。けれども“ファッション”について能書きをたれるとなると、「こりゃ、別人のブログだろう」と思うにちがいない。それほど私は、ファッションとは縁遠い人間なのだ。
暑さ寒さ対策ならともかく“衣”には無頓着だ。見ばえを旨とするファッションには拒絶反応すらある。手持ちの衣料をつらつらみると、ほとんどが兄弟のお下がりか息子のお上がり、さもなければもらい物。10年来着古したものはふつうで、ビンテージものというべきモノさえある。家人はいやがるが、自分では(何を着ても映える)と思っているから意に介さない。
さて、スポーツウェアに注目したきっかけは、クラブでの意外な発見にある。というのは、上下とも黒のウェアが目だって、白ずくめというのは自分だけだった! 今どきのスポーツクラブでは黒のウェアが8割以上を占めているのだ。白・グレーのほか色物が散見されるだけで、とにかく印象としては“黒全盛”の観がある。
いうまでもなく黒は最高だが、むずかしい色だ。バート・ランカスター(「ベラクルス」の敵役)やジャック・パランス(「シェーン」の拳銃使い)ならさまになるが、たいていは安っぽいギャングか殺し屋にしか見えない。好みの問題とはいえ、スポーツの場にかぎれば、イキよりヤボ、ダンディよりキザに見えやすい。
要するに、私だけ清潔感があり、センスが良く、ひとり目だってかっこいい……と、そういうことを言いたいのではない。率直なところ、なぜこうも黒が多いのか。とんとわからないのだ。わからないけれど、これはスポーツ用品店主やユニクロの仕入れ担当に教えれば感動されるような情報ではないかと思う。(ただし、上下のコーディネートとか、半袖・長袖・短パンなど考察すべき種々のポイントがあるので見合わせている)
では、土手のファッションはどうか。散歩人は通常着で、自転車屋はカラフルなユニフォームだ。スポーツとして走る人・歩く人のウェアを見ると、トレーナー、Tシャツなどさまざまだ。それでも上下そろいの黒とかはあまり見かけない。いても、エアコンの屋内と違って、土手の自然環境には馴染まないような気がする。
土手のコースでも私はそろいの白だが、特別のウェアではない。下は古いトレーナー、上はただのTシャツに寒ければ薄手のジャンパーと、やはり白だけだ。白ずくめにした理由はカテゴリ「1」ウォーミングアップの時間 にのべたように、暗くても目だちやすくて安全だからだ。
私のスポーツクラブ歴は15年になる。あちこちのクラブの、さまざまな曜日や時間帯を体験したが、これほど黒の流行を見るのは初めてだ。黒ずくめの中にいると、ふと異星人の世界に紛れ込んだような、あるいは自分だけが下着姿の“裸の王様”になったような気分になる。世間の趣味がわるくなったのか、私がおかしいのか──どちらにせよ、自分のずれ加減の証左のひとつではあろうが。
終わりに、スポーツウェアに関わる私の原体験を述べておきたい。それは中学に入学して身につけるようになった「白トレーパン&ブルーのTシャツ」のことだ。それ以前は特別のウェアなどなく、体操の時間でも普段着みたいなものだった。つまり初めて運動専用の服装を持ったわけ。いま思えば上等とはいえない木綿製で染色もわるかったが、「よごすための運動着」をわざわざ買い整えるのは負担な当時で、それはちょっとした憧憬の対象でさえあった──回想しながら、当節のスポーツ・ファッションは邪道だと思うのだが、いかが。
by knaito57
| 2006-04-29 18:40
| ■ときどき日記
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Comments(1)
Commented
by
knaito57 at 2006-05-02 07:40
濃霧の中を歩くとき私は『霧の中の少女』を思い出します。それが唯一読んだ石坂の小説なんです。もしかしたら白いトレーパンは日活映画からの連想? 麦わら帽子はいいもんですが、腰の手ぬぐいは湘南のヨットマンにはどうも……。
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