2006年 05月 15日
■鳥の声を聞きながら |
うっとうしい天候がつづいた後、今日は久々に薄日も射す好天気。なんだか歩かないと損するような気がして、午後からひと歩き出かける。
江戸川は流れこそ速くないが、水量はこのところかなりふえている。水位高く川幅を広げたゆったりした流れはふだんよりも雄大で、周囲の景観に豊かさを添えている。
数日前、15キロほど上流で少女が水死するという痛ましい事故があったのがウソのようなのどかさだ。川で水泳をしなくなった今日では、おぼれるような事故はほとんどないのだが、係留してあった船のそばで遊ぶうちに落ちたらしい。
歩き出してすぐに汗ばむほどの陽気で、薄手の長袖を腕まくりして歩く。数日見ぬ間に早苗田の緑がぐんと濃くなっている。そこを渡ってくる風も川面をなでて来る風もまさに緑色の“薫風”で、まことに心地よい。
「海から30㎞」標識の手前でカッコウの声を聞いた。ことし初のカッコウ、初夏だなあと実感する。
その名のとおり「カッコウ」という特徴のある鳴き声は、ずいぶんと遠くまで届く。斜面林のある東方の台地にこだまして、そちらからもカッコウと聞こえるのはまるで呼応しているみたいだ。そのせいもあるのだろうが、わたしはカッコウの声を聞くとメルヘンの国に誘われるような遠い気分になる。あるいは子どものころに聞いた歌か、童話のせいかもしれないが、わたしには非日常性を強く感じる鳴き声なのだ。
郭公のそれのこだまと遠き音と(爽雨)
ひとしきり鳴いた後で、しばらく休んでまた聞こえる。大きな声だから鳴き続けもならず、きっと一息入れるのだろう。近年、カッコウが少なくなったといわれ、実際、近隣では聞くことができないから、その意味でも土手の道は貴重なコースだといえる。
空では、まだヒバリが鳴いている。あれは「ピーチク、パーチク」と鳴くことになっているのだが、その音声はカッコウほど明瞭ではない。空高く上昇するときのようすが面白い。鳴き声に合わせて羽ばたくと、ちょうど平泳ぎの腕の働きよろしくワンストロークごとに昇っていく。
草むらのあちこちで「ケン、ケン」と鳴いているのはキジ。姿を見かけるのはまれだが、保護鳥だから数は多い。
「チョットコイ、チョットコイ」と鳴いているのはコジュケイだ。正確にはそうとは聞こえないのだが、アクセントが似通っているために昔の人にはそう聞こえたのだろう。
ウグイスは近年、人家の近くにも現れるほどヒトとの共存傾向が顕著だが、土手ではその声を盛夏まで聞くことができる。
というわけで、わたしにわかるのは鳴き声に特徴のある小鳥と、姿形でわかるツバメくらい。このほかにも「ヒーヒーッ」とか「ギュイーッ」と鳴くのがいるが、なんの鳥かわからない。
また川面や空を行く水鳥の識別は視力的にむずかしいうえ知識に乏しいから、残念ながら紹介することができない。それでも川や田んぼ、景色や野草を愛でて歩くあいだずっと、さまざまな小鳥の声が聞こえるのだからありがたいことだ。その方面の知識のある人なら、土手散歩の楽しみは倍増することだろうと思う。
注=カッコウの声を聞きに江戸川までお越しなら、上記のポイントの他「32㎞」「35㎞」地点でも確実に聞くことができます。
下流、松戸寄りの「23㎞」「25㎞」でも鳴いていました。(5/24追記)
江戸川は流れこそ速くないが、水量はこのところかなりふえている。水位高く川幅を広げたゆったりした流れはふだんよりも雄大で、周囲の景観に豊かさを添えている。
数日前、15キロほど上流で少女が水死するという痛ましい事故があったのがウソのようなのどかさだ。川で水泳をしなくなった今日では、おぼれるような事故はほとんどないのだが、係留してあった船のそばで遊ぶうちに落ちたらしい。
歩き出してすぐに汗ばむほどの陽気で、薄手の長袖を腕まくりして歩く。数日見ぬ間に早苗田の緑がぐんと濃くなっている。そこを渡ってくる風も川面をなでて来る風もまさに緑色の“薫風”で、まことに心地よい。
「海から30㎞」標識の手前でカッコウの声を聞いた。ことし初のカッコウ、初夏だなあと実感する。
その名のとおり「カッコウ」という特徴のある鳴き声は、ずいぶんと遠くまで届く。斜面林のある東方の台地にこだまして、そちらからもカッコウと聞こえるのはまるで呼応しているみたいだ。そのせいもあるのだろうが、わたしはカッコウの声を聞くとメルヘンの国に誘われるような遠い気分になる。あるいは子どものころに聞いた歌か、童話のせいかもしれないが、わたしには非日常性を強く感じる鳴き声なのだ。
郭公のそれのこだまと遠き音と(爽雨)
ひとしきり鳴いた後で、しばらく休んでまた聞こえる。大きな声だから鳴き続けもならず、きっと一息入れるのだろう。近年、カッコウが少なくなったといわれ、実際、近隣では聞くことができないから、その意味でも土手の道は貴重なコースだといえる。
空では、まだヒバリが鳴いている。あれは「ピーチク、パーチク」と鳴くことになっているのだが、その音声はカッコウほど明瞭ではない。空高く上昇するときのようすが面白い。鳴き声に合わせて羽ばたくと、ちょうど平泳ぎの腕の働きよろしくワンストロークごとに昇っていく。
草むらのあちこちで「ケン、ケン」と鳴いているのはキジ。姿を見かけるのはまれだが、保護鳥だから数は多い。
「チョットコイ、チョットコイ」と鳴いているのはコジュケイだ。正確にはそうとは聞こえないのだが、アクセントが似通っているために昔の人にはそう聞こえたのだろう。
ウグイスは近年、人家の近くにも現れるほどヒトとの共存傾向が顕著だが、土手ではその声を盛夏まで聞くことができる。
というわけで、わたしにわかるのは鳴き声に特徴のある小鳥と、姿形でわかるツバメくらい。このほかにも「ヒーヒーッ」とか「ギュイーッ」と鳴くのがいるが、なんの鳥かわからない。
また川面や空を行く水鳥の識別は視力的にむずかしいうえ知識に乏しいから、残念ながら紹介することができない。それでも川や田んぼ、景色や野草を愛でて歩くあいだずっと、さまざまな小鳥の声が聞こえるのだからありがたいことだ。その方面の知識のある人なら、土手散歩の楽しみは倍増することだろうと思う。
注=カッコウの声を聞きに江戸川までお越しなら、上記のポイントの他「32㎞」「35㎞」地点でも確実に聞くことができます。
下流、松戸寄りの「23㎞」「25㎞」でも鳴いていました。(5/24追記)
by knaito57
| 2006-05-15 21:42
| ■ときどき日記
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Comments(3)
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antsuan at 2006-05-16 10:03
沖の方まで船で漕ぎ出しても、鳥の声や喧騒が聞こえるのには驚かされます。しかし、この頃は水溜りというのを見かけなくなりましたが、土手も殆ど舗装されていてなさそうですね。
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cyclist_maki at 2006-05-20 10:40
江戸川のゆったりした流れを見ながら鳥の声を聞く。
田んぼがあって田植えなどする人をのんびり眺めるのは
とても気分が良いですね。
鳥は本当にいろいろでわかりません。
今度手賀沼の鳥類博物館でゆっくり見学してみようと
思っています。
田んぼがあって田植えなどする人をのんびり眺めるのは
とても気分が良いですね。
鳥は本当にいろいろでわかりません。
今度手賀沼の鳥類博物館でゆっくり見学してみようと
思っています。
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knaito57 at 2006-05-20 19:41
私も鳥はスズメ・カラス・ハトくらいしか知らなかったんですが、当地に来て樹木や野草をだいぶ覚えました。トシのせいかも知れませんが……。